寂しいうさぎのひとりごと

○○のひとりごとシリーズ更新中

MDのひとりごと

 

一昔前までは俺らが主流だったもんだ。

 

今の小、中学生達はほとんどのやつが俺らMDのことを知らないんじゃないのか?

そんなわけで今日は俺たちMDの軽い自己紹介と現在を話していこう。

ディスクメディア - Wikipedia


俺たちは1991年生まれだ。当時の主流はカセットテープで俺らの登場は世間に衝撃を与えたらしい。

 

まぁ生まれながらのスターだったってことかな。

 

俺らのメインの仕事はCDの音楽をコピーして色んなとこで聞けるようにすること。傷が付きやすいCDに比べて頑丈な俺たちは重宝されたはずだ、と思っている。

 

そんな俺たちも技術の進化によってどんどん活躍の場を失っていった。

 

「なんだよBluetoothって、ふざけんなよ最高じゃんかよ」

 

そんな思いを胸に俺たちは物置の中で眠っている。

最近になってわかったことだが俺たちは記憶力が悪く音質もあまり良くなかったらしい。のぼせ上がっていたのがちょっとだけ恥ずかしいが若い頃ってみんなそんなもんだろ?

 

最近は俺たちのはるか上のスペックを誇っていたCD達も出番が少なくなっている。自分で言うのもなんだがダウンロードして聞くのとCD買って聞くのはまた違った楽しみがあると思う。

 

今の若い人たちもぜひ余裕があったら買って見てほしい。そうすればまた違った音楽の楽しみ方ができるはずだよ。

 

電球のひとりごと

 

自分の体のことは自分が一番よく分かっている。だから僕が消えてしまう前に僕が思っていることをここに残しておこうと思う。

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僕たち電球の寿命は数ヶ月だ。ものによっては数年生きるやつもいるが、僕はいたって普通なのでそんな長くはいきられないだろう。

 

人間は当たり前のように僕達電気を使うが、普段から

 

「あと何ヶ月使えるな」

 

などと意識している人は少ないと思う。

人間からしたら僕ら電球は使えなくなったら新しいものに変えるただの消耗品でしたないのだ。

 

電球の僕が言うのもなんだが実際電球っていうのはそんなもんだと思う。だから僕は電球なりに短い命を精一杯生きることにしてきた。

 

だがこんな僕の命も残りわずかだ。

持ってもあと10分ってところだろう。最近は急に真っ暗になり意識が飛ぶことが増えてきた。

 

僕は電球として何かを残せただろうか。

家族を明るく照らすことができただろうか。

そんなこと僕にはわからない。

 

精一杯生きると言いながらなにもできなかった人生。だがそんな人生も意外と悪くないもんだ。

 

そういえば一つだけ思い出があった。

子供たちがやめろと言われたのにボール遊びをして僕以外の電球を全て割ってしまったことがあった。あのときは深夜2時すぎまで怒られていたな。

 

他に思い出せるほどの思い出はないな

 

まぁ色々話したが別に僕のことを覚えていて欲しいとかそんなことは思わない。

 

だがこの家族が将来怒られた思い出を笑って話す時その思い出の1部に僕がいれたならいいなと思う。

 

 

 

 

 

 

 

自転車のひとりごと

 

皆さんは子どもの頃自分が乗っていた自転車のことを覚えていますか?

 

体が大きくなると大きい自転車を買ってもらい今まで乗っていたものは乗られなくなる、今日はそんな私のお話です。

 

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私がこの家に来たのはつばさくんが小学生2年生の時のクリスマスでした。

いとこのお兄ちゃんが乗っていたボロボロの自転車を使っていたつばさくんは12月になるとずっと、サンタさんに

 

「新しい自転車が欲しい」

 

とお手紙を書いてお願いしていたそうです。

 

そして待ちに待ったクリスマス当日。

 

玄関の私を見つけたつばさくんは嬉しさのあまり階段で足を滑らせ腕を骨折してしまいました。怪我のため私に乗ることが出来なかったつばさくんは、学校から帰ってくると毎日のように私の前に座って私の絵を描いてくれていました。

 

2週間後怪我も治り私に乗れるようになると毎日のように町内を私に乗ってうろうろするのが日課となり、私もそれがとても楽しみでした。

 

友達と遊ぶ時はもちろん、飼い犬の散歩など外に出る時は常に私と一緒だったと思います。

 

そんなつばさくんも小学6年生になると中学校の登校のために新しい自転車を買ってもらいました。私とは違い色もシンプルでタイヤも大きい大人の自転車です。

 

つばさくんは一人っ子のため他に私のことを必要とする人はおらず、かれこれ5年以上自転車置き場の住みに置きっぱなしです。もうつばさくんが私に乗ることはないんだと思うととても寂しい気持ちになりますがそれ以上に成長してくれたことを嬉しく思います。

 

最近は毎日帰ってくるとつばさくんが現在乗っている自転車がつばさくんとどこに行ったのか、何があったのかなんかを話してくれます。今はそれが毎日の楽しみです。

 

そう言えば今度つばさくんに歳の離れた弟か妹が生まれるらしいです。私に出番があるかどうかは分かりませんが、こんな私でも子どもの成長の役に立てるなら幸せです。

抱き枕のひとりごと

 

また今日も夜がやってくる。

 

毎日のあの時間が地獄でまともに寝ることすらできやしない。あの頃はまさか俺の人生がこんなことになるなんて思ってもいなかったのに。

 

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俺はとある中国の工場でつくられたんだ。工場時代はたくさんの仲間と将来について色んなことを語ったよ。俺も将来は可愛い女子大生に抱きしめられるんだとどっから来るかも分からない自信に満ち溢れていたな。

 

工場から出荷された俺は海を超えて日本にやってきた。

俺はAmazonってとこで販売されるって話だ。購入される度ににどんどん仲間達が旅立って行くんだがそいつらの目には希望が溢れていた。

 

まだかまだかと自分の番を待ちわびる日々が数ヶ月続いた頃ついに俺の番がやってきた。透明のビニールで包み普通のダンボールに入れられたってことはどうやらプレゼント用ではないらしい。購入者の元に届くまで3日ほどかかるのだがこんなに時間が経つのが遅いと思ったことはなかったよ。

 

そして数日後の昼ついに俺は購入者の家に届けられた。別の小さな荷物も一緒に届けられたようだがそんなことはどうでもいい。早く可愛い大学生に抱きしめられたい、その気持ちで頭はいっぱいだったんだ。

 

だが箱を開けられた瞬間俺の夢は一瞬にしてぶち壊された。

目の前にいたのは30代くらいの太った男だったんだ。3月なのに額に浮かんだ汗はその男の私生活を物語っていた。

 

逃げ出そうと思ったがなんせ俺は抱き枕、1人で動けるわけが無い。なすすべもなく枕カバーをつけられた俺は鏡に映った姿をみて言葉を失った。どこの誰かも分からないような裸のアニメキャラの枕カバー、もうひとつの箱の中身はこれだったんだ。

 

その後男は出かけて行ったのだが俺は天井を眺め一人で泣いていた。こんなに男として最悪なことはない、そう思っていたがその予想も一瞬にして裏切られた。

 

夜になって帰ってきた男は裸で俺を抱きしめたんだ。なにかのアニメを見ながら何時間も何時間も俺を抱きしめた男はついに俺にとどめを刺す行動に出た。

 

何が起こったのかは君の想像におまかせするが、俺は性処理の道具じゃないとだけ伝えておくよ。

 

あれから数ヶ月経ったが未だにこの生活は続いている。

 

女子大生との生活を夢見た俺にとってこの生活は地獄でしかないし、これからもそうなんだろう。抱き枕として生まれた以上誰かに抱きしめられながら生活するのは当たり前のことなんだ。

 

きっと他にも俺と同じようなことになっているやつもいるだろうからこの地獄も俺の運命として受け入れることにする。

 

だが最後にもう一度だけ言っておく。

 

俺は性処理の道具じゃない、睡眠グッツだ。

 

 

カラーコーンのひとりごと

 

こんにちは、カラーコーンです。

 

カラーコーンと聞くとあなたはどんな場面を思い浮かべますか?

 

学校のグラウンド、工事現場、駐車場などなど様々な場所で私の仲間達は活躍しています。今日お話しするのはとある会社の駐車場で傘立てとして働く私の物語です。

 

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私がこの会社にきたのは今から7年前の夏のことです。

それまで私は水道会社の工事用カラーコーンとして働いていたのですが、現在勤めている会社の水道工事の際に置き忘れられていったことが原因で急遽転勤が決まったのです。

 

はじめは新しい環境に慣れずストレスで色が剥げたりすることもありました。しかし時間と共にこの環境にも慣れ、7年間車の後ろを壁から守り抜くという重大任務をやり遂げたことは今でも私の誇りです。

 

ですが、カラーコーンの私にとって7年間は決して短い時間ではありません。今の私にかつての輝きは残っておらず頭の部分が割れ、色は何色かもわからないほど剥げてしまっています。

 

少しの衝撃でも砕けてしまいそうでいつリストラされるかと不安な私に追い討ちをかけるように新しいカラーコーンがやってきました。

あの時は流石にもう引退しかないと覚悟を決めました。

 

ところがある日突然、誰かが私のちょっと割れていた頭の先に傘を突き立てたのです。
その瞬間から私は「傘タテ」として新たな人生を歩み始めました。

 

こんな老いぼれでも誰かの役に立てていると思うと日常に明るさが戻ってきました。

昔から劣化を早める雨は大っ嫌いでしたが、今では雨が降るのが楽しみで仕方ありません。

 

いつまで傘立てとしてお役に立てるかは分かりませんが、最後まで誰かの役に立てる人生で本当に幸せでした〜。

 

 

パソコンのひとりごと

 

私は、ごく普通の一般家庭にあるパソコンです。

 

昔はひろしさん(父)が仕事で使っていたものなのですが、新しい物を買ったらしく今は家族の共有パソコンとして働かせてもらってます。

 

今日はそんな私の1日をお話しましょう。

 

リビング/ゲーム中毒/パソコン/ホワイトインテリア/賃貸のインテリア ...


我が家の家族構成は父のひろしさん、母のみゆきさん、高校生のかなちゃん、中学生のけいたくんの4人家族です。けいたくんが中学生になったのをきっかけにリビングに私が置かれることになりました。

 

朝3人を送り出したみゆきさんは、家事を終わらせる間に私の電源を入れます。私ももう歳なので、起動に時間が掛かってしまうんです。

 

家事を終えたみゆきさんは日課のブログ巡りから始まり、料理動画やドラマの再放送を見たりして1人の時間を楽しんでいます。子供たちが帰ってくると自分の時間がなくなってしまうので貴重な時間なのでしょう。

 

なんだかんだしていると学校が終わり、けいたくんが帰ってきます。

 

最近ははじめしゃちょーと荒野行動の実況動画にハマっていてずっとYouTubeで見るのはその動画ばかりです。

家に1人の時はちょっとエッチなのを見ていることもありますが、年頃の男の子なのでしょうがないですよね。1度検索履歴を消し忘れていたのでこっそり消しといてあげました。

 

20時を過ぎるとバイトを終えてかなちゃんが帰ってきます。ひとり暮らしの為にお金を貯めてるそうです。

 

かなちゃんは自分のスマホを持っているため私を使用することは少ないですが、1度使い始めると結構長い時間私の前にいてくれます。

 

今年に入ってから進路のことを調べることが多くなりました。楽しそうに調べている反面、少し寂しそうにも見えます。口には出さないけどこの家のことが大好きなんだなと1人で感動している私はもう完全なおばさんですね。

 

ひろしさん以外はパソコンの扱いに慣れてないので、ひろしさんが私の前に座ると毎回みんなが集まってきてパソコン講座が始まります。家族みんなが楽しそうに私を囲んで話してくれるのが嬉しくてたまりません。

 

いつまでもこんな日常が続けばいいのに・・・。そんなことばっかり考えている毎日です。

 

いろいろ話しましたが私の日常に特別なことはありません。でも私はこの家族が大好きです。どこにでもある普通の家族の普通の日常。その中の一部に私がいられることを毎日幸せに思います。

 

 

 

雑巾のひとりごと

 

「ちょっと男子ー!いい加減にしてよ!」

 

今日も教室に学級委員長の由美ちゃんの声が響き渡る。冬休みも終わり1週間が経つが男子は毎日この調子だ。こいつら本当に中学生になれるのだろうか。

 

申し遅れました。僕は雑巾、寂兎小学校6年2組の雑巾です。

 

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私の仕事は6時間目が終わるとともに始まる。罰掃除などで昼休みに急遽出勤させられることもあるが基本的に他の時間は暇だ。

 

授業が終わると毎日15分の掃除時間がやってくる。女子が使ってくれる日はいいのだが男子に捕まると最悪だ。

 

野球のボールにされたり、サッカーのボールにされたりと、

「私はボールだったのか?」

と思うほど酷い扱いを受ける。

 

大して汚れてもいないのに糸がほつれ、破けているのはこの扱いのせいだ。
男子いわく私は丸めやすくてボールにしやすいらしい。

 

「本当はオシャレなハンカチになりたかったのに」

 

そんな思いを胸に抱いて今日も私は宙に舞う。

 

こいつらがまじめに掃除をする日はくるのだろうか。いや少なくともあと5年は無理だろう。この子達がまじめに掃除するようになる頃私はもうこの世にいないので私にはわからない。

 

男という生き物はバカな生き物だなのだ。

皆そうやって馬鹿をやって叱られて立派な大人に育っていく。私は卒業式前の大掃除が終わると捨てられてしまうから卒業する姿を見ることはできないが、この子達がこれから中学、高校となるにつれて立派に成長していってくれることを祈っている。