雑巾のひとりごと
「ちょっと男子ー!いい加減にしてよ!」
今日も教室に学級委員長の由美ちゃんの声が響き渡る。冬休みも終わり1週間が経つが男子は毎日この調子だ。こいつら本当に中学生になれるのだろうか。
申し遅れました。僕は雑巾、寂兎小学校6年2組の雑巾です。
私の仕事は6時間目が終わるとともに始まる。罰掃除などで昼休みに急遽出勤させられることもあるが基本的に他の時間は暇だ。
授業が終わると毎日15分の掃除時間がやってくる。女子が使ってくれる日はいいのだが男子に捕まると最悪だ。
野球のボールにされたり、サッカーのボールにされたりと、
「私はボールだったのか?」
と思うほど酷い扱いを受ける。
大して汚れてもいないのに糸がほつれ、破けているのはこの扱いのせいだ。
男子いわく私は丸めやすくてボールにしやすいらしい。
「本当はオシャレなハンカチになりたかったのに」
そんな思いを胸に抱いて今日も私は宙に舞う。
こいつらがまじめに掃除をする日はくるのだろうか。いや少なくともあと5年は無理だろう。この子達がまじめに掃除するようになる頃私はもうこの世にいないので私にはわからない。
男という生き物はバカな生き物だなのだ。
皆そうやって馬鹿をやって叱られて立派な大人に育っていく。私は卒業式前の大掃除が終わると捨てられてしまうから卒業する姿を見ることはできないが、この子達がこれから中学、高校となるにつれて立派に成長していってくれることを祈っている。