電球のひとりごと
自分の体のことは自分が一番よく分かっている。だから僕が消えてしまう前に僕が思っていることをここに残しておこうと思う。
僕たち電球の寿命は数ヶ月だ。ものによっては数年生きるやつもいるが、僕はいたって普通なのでそんな長くはいきられないだろう。
人間は当たり前のように僕達電気を使うが、普段から
「あと何ヶ月使えるな」
などと意識している人は少ないと思う。
人間からしたら僕ら電球は使えなくなったら新しいものに変えるただの消耗品でしたないのだ。
電球の僕が言うのもなんだが実際電球っていうのはそんなもんだと思う。だから僕は電球なりに短い命を精一杯生きることにしてきた。
だがこんな僕の命も残りわずかだ。
持ってもあと10分ってところだろう。最近は急に真っ暗になり意識が飛ぶことが増えてきた。
僕は電球として何かを残せただろうか。
家族を明るく照らすことができただろうか。
そんなこと僕にはわからない。
精一杯生きると言いながらなにもできなかった人生。だがそんな人生も意外と悪くないもんだ。
そういえば一つだけ思い出があった。
子供たちがやめろと言われたのにボール遊びをして僕以外の電球を全て割ってしまったことがあった。あのときは深夜2時すぎまで怒られていたな。
他に思い出せるほどの思い出はないな
まぁ色々話したが別に僕のことを覚えていて欲しいとかそんなことは思わない。
だがこの家族が将来怒られた思い出を笑って話す時その思い出の1部に僕がいれたならいいなと思う。